カロリーは同じでも、身体の中での使われ方は違う
以前から何度もつぶやいてましたが、一番重要で、一番基本的で、一番最初に知っておいたほうが良い事柄です。
小難しい生化学の式とかは省いて、できるだけ分かりやすく書いてみました。
(それにしてもこの鯖、焼き加減がイマイチだな…。次はもっと上手にやろう…( ˘ω˘ ))
◆「脂の乗った焼き魚=砂糖菓子」?
ミスドのポンデリング5個:およそ1,200kcal
鯖の塩焼き360g(半身3枚):およそ1,200kcal
これら二つ、身体の中で同じ働きをするでしょうか?
当然、同じであるはずがありません。
まぁ小難しい理屈を並べなくても分かりますが、一応、三大栄養素単位に分解してみましょう。
・ミスドのポンデリング(5個)
糖質:136.5g
蛋白質:6.0g
脂質:64.5g (過酸化脂質たっぷり♪)
熱量:1,160kcal
・鯖の塩焼き(大西洋サバ:360g)
糖質:1.44g
蛋白質:61.92g
脂質:96.48g (DHA/EPAたっぷり♪)
熱量:1,174kcal
もはや前者に至っては、「食べ物という名の別の何か」ですね!
(言い過ぎ?)
(言い過ぎ?)
※これらの数字を見てもピンと来ない人は重症です。これから少しずつリハビリしていきましょう。
◆栄養≠カロリー
・同じカロリーでも栄養成分は違う
砂糖:104g (コーラ940cc)
ご飯(白米):238g (茶碗1.5膳)
ご飯(玄米):242g (茶碗1.5膳)
オートミール:105g (中深皿1杯分)
全卵:265g (Lサイズ4.5個分)
プロセスチーズ:118g (6Pチーズ7個)
鶏胸肉(皮無し):370g (サラダチキン3個)
サラダ油:45cc (大さじ3杯)
オリーブオイル:45cc (大さじ3杯)
アーモンド:67g (小鉢1杯分)
ブロッコリー:1.2kg (およそ10株)
ほうれん草:2kg (およそ7束)
これらは全て「400kcal」です。
砂糖菓子が青魚の代わりにならないように、同じカロリーでも、三大栄養素、そしてビタミン・ミネラルの含有量は大きく異なります。
同じカロリーでも、蛋白質の有り無しは、骨・内臓・筋肉・肌・髪・その他諸々の細胞生成に影響を及ぼします。
同じカロリーでも、脂質の有り無しは、血管内壁修復・細胞膜生成・ホルモン生成・脳神経機能保全等に影響します。
同じカロリーでも、糖質の有り無しは、身体の代謝状態が変化(糖質代謝⇔脂質代謝)するので、体脂肪の増加/減少量、ナトリウム・水分量に大きく影響します。
同じ蛋白質でも、モノによってアミノ酸スコアや吸収速度が大きく異なります。
同じ脂質でも、オリーブオイルとサラダ油では脂肪酸組成が違い、身体への影響は大きく異なります。
同じ糖質でも、砂糖・白米・玄米・オートミールでは、栄養成分はもちろん吸収速度も異なり、もはや別物です。
たとえ糖質摂取であっても、トレーニング直後のデンプンやマルトデキストリンであれば、筋肉中のGLUT4の作用により血糖の大部分が筋グリコーゲンとして回収され、体脂肪増加のリスクは最小化されます。
そして「カロリー」をほとんど持たない緑の野菜は、ビタミン・ミネラル・食物繊維・そして抗酸化物質の宝庫であり、体調を整え、免疫力を維持するなど、とても重要な役割を持っています。
・食べた「カロリー」がどこへ行くのか
例えば、私が朝起きて、ココナッツオイルで調理された卵4個の目玉焼き(およそ400kcal)を食べたとします。
消化・吸収された蛋白質はアミノ酸となり、血中の遊離アミノ酸として全身を巡り、筋トレで損傷した筋線維の修復に使われたり、内臓の新陳代謝に使われたり、ヘム鉄とくっ付いて赤血球の材料になったり、損傷したDNAの修復のために使われたり、肌や髪の毛や骨や白血球やその他諸々の細胞の材料として使われる。
脂質は脂肪酸とグリセロールに分解され、中鎖脂肪酸は門脈を通って速やかに、長鎖脂肪酸はリンパ管を通って緩やかに吸収され、細胞膜の材料、血管の修復材、お肌の材料、ホルモンの材料、心筋のエネルギー源などに使われる。
糖質は摂らないので体内は脂質代謝モードのままとなり、脂肪酸はLカルニチンとくっ付いてアセチルCoAとなり、ミトコンドリア内のTCA回路に放り込まれ、呼吸鎖を通してATPが作られ、細胞はエネルギーを得る。
肝臓にて生じたアセチルCoAの一部はケトン体に変換され、血液に介して脳を含む全身の細胞に送り届け、細胞内で再びアセチルCoAに戻され、ATP産生のために使われる。
アミノ酸とグリセロールは肝臓で糖新生のために利用され、大量のATPを消費して少量のブドウ糖を作り、血糖値のベースラインを維持するために血中に放出され、赤血球のエネルギーとなる。
さて、「カロリー」はどこに行ったでしょうか?
・食べたものは「燃焼」しない
人間の体内で起きているのは複雑奇怪な化学反応の連続であり、熱収支ではありません。
人間の体内で「燃焼」は起きていません。
人間は蒸気機関車ではないのです。
結果的に「カロリーイン・カロリーアウト」の式が成立したとしても、それはただの相関であり、因果関係を示しているわけではありません。
「ビールの売上が伸びる時は熱中症の件数も増える!ビールが熱中症の原因だ!!」
ってならないでしょ?
体脂肪の損失も同じです。
比喩的に「体脂肪燃焼!」と言うときはあるけれど、本当に中性脂肪が「燃焼」しているわけではありません。
「カロリー」という言葉だけで全てを推し量るのは、人間の体内活動を単純化し過ぎています。
◆日本の常識、世界の非常識
・理論よりも精神論が大切な日本人
例えば、FDA(米国食品医薬品庁)では「炭水化物を摂るときは、未精製のものを食べてね」と提唱しています。
精製炭水化物は、白米・小麦粉などのいわゆる「白い穀物」であり、未精製炭水化物は、玄米・全粒粉・オートミールなどのいわゆる「茶色い穀物」です。
※砂糖やコーンシロップは論外
当然、米国でも砂糖菓子やジャンクフードを好む人達は大勢いますが、少なくとも身体の事を気に掛ける多くのトレーニー・ボディビルダー達が口にするのは、せいぜい1人前程度の玄米・オートミール・あるいは全粒粉パンなどです。
もちろん、Ketogenicで身体作りをしている人は、それすらも口にしません。
彼らが最も重要視するのは、動物性蛋白質と、良質の脂質です。
彼らが炭水化物だけでお腹いっぱいにする事は、まずありません。
日本みたいに、野球をやっている子供たちに根性論で白米をしこたま食べさせたり、子供でも大人でも糖尿病患者でも毎食一律で精製炭水化物を60%食べさせるという事が、どれほど異常であるかが分かると思います。
(なお、それを後押ししている日本糖尿病学会は世界中からブッ叩かれています)
・日本人は農耕民族で白米消化に適した身体だから問題無い?
ハハハ!こやつめ!
①人種や民族が異なっていても、身体の作りはほとんど同じです
②どちらかと言うと、日本人は膵臓が弱い人が多く、糖質の大量代謝に向いていません
③実は狩猟民族です
事実、医学も栄養学も世界共通です。
それこそ、「違うのは肌の色だけ」というヤツです。
あんまり変な事言うと人種差別になるぜ?('ω')
◆「カロリー」という言葉を忘れて下さい
私は、食事や栄養、ダイエットに関する話題を振られたとき、必ず、一番最初にこの話をしています。
そして「カロリーという言葉を忘れて下さい」と締めくくります。
これが全ての始まりであり、ステップ1です。
もちろん、無限大に食っても良いというわけではありませんが…。
(なので、一旦忘れて下さい。というニュアンスで言っています)
これは同時に、「とにかく食わなきゃヤセる!」や「ダイエットは空腹との闘いだ!」などの、巷に蔓延る栄養失調ダイエットの否定でもあります。
「カロリー」という単位だけでダイエットを続ける場合、多くの人が目標とするであろう「筋肉が付いていて脂肪の少ない身体」に至る事は未来永劫ありません。
「何をやってもヤセないデブ」か、「病人のような平たい身体」のいずれかになります。
えっ?
筋肉も脂肪も無く細くて華奢で可憐で抱きしめたらへし折れちゃいそうなハリガネみたいな身体になりたぁ~いから別にいいって?
筋肉も脂肪も無く細くて華奢で可憐で抱きしめたらへし折れちゃいそうなハリガネみたいな身体になりたぁ~いから別にいいって?
そうですか。四十過ぎたら要介護ですね。( ^ω^ )