「体重」で体型管理をしてはいけない理由
「体重」だけで体型管理をしようとするとかなり悲惨な結末が待っていますので、健康的な身体作りをしていく場合、「体重減」という考え自体を見直す必要があります。
◆「体型」は、だいたい4種類に分類できる
「いらすとやさんの画像でも良いけど写真とか無いのかよピンとこねぇよ」という声を想定して、freepikさんから拝借した写真もご用意しました。
筋肉が多く、さらに脂肪も少ないので、メリハリがある。
おそらく多くの人が目標とするであろう体型。
おそらく多くの人が目標とするであろう体型。
アスリートやボディビルダー等が該当する、いわゆる「イケてる身体」。
筋肉が多いので、意外と体重がある。
沢山の筋肉の上に脂肪が乗っている状態。カットは隠れている。
分かりやすく言うと「力士」なんだけど、実際にはそこまで太っていないケースが多い。
増量中のボディビルダーやプロレスラー、ヘビー級の格闘家などが該当します。
ただの「デブ」。
弁解の余地は無い。
脂肪は少ないが、筋肉が無いので身体の凹凸が無い。平たい身体。
写真は一応モデルさんらしい(?)ので比較的まともに見えるが、実際のケースは「病人」の一歩手前状態が多い。
日本だと好まれるが、アメリカだと細い男性は印象が良くないそうだ。
もはやこれだけでも全てが分かりますが、一応詳しく書いていこうと思います。
◆「体重」という指標の無意味さ
・脂肪1kg≠筋肉1kg
脂肪1kgの模型と、筋肉1kgの模型を見たことはあるでしょうか?
(もし無かったらググってみて下さい。いくらでも写真が出てきますので)
脂肪1kgの模型は「ぶん投げたら人がタヒぬんじゃねぇかと思うほどの大きさ」であるのに対し、筋肉1kgの模型は「スーパーで売っている薄っぺらいステーキ肉のような小ささ」です。
「脂肪よりも筋肉の方が重い」
つまり、同じ重さだった場合、筋肉のほうが体積が小さくなります。
・・・どういう事だって?
つまりこういうこと。
・脂肪が多い体重50kgの人:太い
・筋肉が多い体重50kgの人:細い
これにより、「体重○○kgだけど太って見える…」とか「体重○○kg!?ええ~そんな風に見えない!」という事が起こりえます。
体重の大小は、必ずしも脂肪の量だけを示しているわけではないのです。
・体重≠スタイルの良さ
「メリハリのあるボディライン」は筋肉によって形成されています。
脂肪は全身均一に付きますが、筋肉は、その部位によって成長させたときに凸る箇所が異なります。
これにより、筋肉を付ける事により、全身に凸凹が生まれ、いわゆるアスリートやハリウッド俳優のような「メリハリのあるボディライン」が作られるのです。
ついでに言うと、筋肉があることで、身体の部位が引き締められるので、これも身体のスリム化に貢献します。
筋肉が無いと、腹も腕も尻も脚も重力に負けて下方向に垂れ下がるので、いわゆる「老化したオバサン体型」になります。
そして、筋肉は脂肪よりも重いので、筋肉を付けて脂肪を減らした場合、体重はさほど変わらなかったり、あるいは増える事になります。
これにより、「体重は増えたけど、スタイルは良くなった」という事があり得るのです。
逆に言うと、「体重は減ったけど、スタイルが良くならない」という事もあり得るのです。
・「体重」だけを見ていると「隠れ肥満」に気付かない
隠れ肥満というのは、「筋肉が減って・脂肪が増える」というもの。
近年、お年寄りや若い女の子だけでなく、デスクワーカーにも多い肥満です。
筋肉は使われないと擦り減っていくので、一日中椅子に座ってマウスのクリックだけをしているオッサン達は、確実に筋肉量が減少します。
そしてデスクワーク系オッサンは「糖分は脳の栄養なんだよ!」と間違った栄養学を振りかざし毎日米飯ラーメン砂糖菓子砂糖飲料をムシャムシャしているので、脂肪はめきめき増えます。
筋肉は減っているが、脂肪が増えたので、学生時代と体重は変わらない。でも腹は出ている。でも昔と体重が変わってないから「太っていないはず」と思ってしまう。
そしてなにが何だか良く分からないうちにデブは進行していき、やがて糖尿病を発症するレベルになる。
(私がこのパターンだった)
・「体重減」だけを目指すと「デブ」か「病人」になる
筋肉は脂肪よりも重いので、筋肉を減らすと「体重」は凄まじい勢いで減っていきます。
かつてダイエットの鉄板と言われていた「低カロリー食&有酸素運動」は、脂肪も落ちますが、筋肉も削ぎ落すことになるので、非常に効率良く「体重減」を達成することができます。
しかし、筋肉量が減るので、行きつく先は「病人」です。
開き直って元の食事に戻したら「デブ」になります。
もちろん、筋肉量減少に伴い基礎代謝と糖質許容量は減っているので、「以前より太りやすく・痩せにくくなり・免疫力が低下している」というオマケ付きです。
・増量と減量を繰り返して身体を作る
多くの人が目標とするであろう体型は「イケてる身体」の領域だと思います。
ここに至るためには、脂肪を落とすことだけでなく、必ず「筋肉を増やす」ことが必要です。
筋肉を増やす必要がある以上、「体重減」だけを見ている限り、未来永劫目標に辿り着く事はありません。
増量:体脂肪の増加を抑えながら筋肉量を増やす (体重は少し増える)
減量:筋肉量の減少を抑えながら体脂肪を減らす (体重は少し減る)
これを数か月サイクルで繰り返し、少しずつ「筋肉が付いていて、脂肪が少ない」状態を作っていく。
これが「身体作り(BodyBuilding)」の極意です。
「体重」だけで体型管理をしていると、いつか必ず迷路に迷い込みます。
そして、「こんなに頑張ってるのにどうしてスタイル良くならないのォ!?」とぶち切れ、更なる栄養失調ダイエットにより「病人」となるか、開き直って「デブ」になるか、いずれかの結末を迎えます。
◆世界は「体重減」から脱却し始めている
・痩せすぎのモデルは起用されない時代へ
2017年9月6日、ヴィトンやグッチが新基準を設け、今後「痩せすぎ」のモデルは起用しないという発表がされました。
フランスでは2017年5月より、極端に痩せているモデルの活動を禁止する法律が施行されており、今後モデル活動をするには「BMIが低く過ぎず健康体であることを証明する医師の診断書」が必要となっています。
つまり、ファッションの中心地であるフランスでは、「体重減=美しい」から脱却しつつあります。
・クラシックバレエでも一定体重以下は出場禁止
ローザンヌ国際バレエコンクール:健康に関するポリシー
リンク先記事でも詳細に書いてありますが、例えば身長160cmで18歳の女の子の場合、
BMI:18.5以下(体重47.3kg以下) で「痩せ過ぎ」と指摘され、
BMI:17.0以下(体重43.5kg以下) で「深刻な栄養不良」となり、出場停止になります。
プロのバレエダンサーでも、BMIは17~18くらい(身長160cmで45kgあたり)が多く、「実はそこまで痩せていない」のが真実だったりします。
そもそもダンスってめっちゃ筋肉使いますしね。
余談:
ローザンヌのコンサルタント医師も「ダンス、特に古典的なバレエは、骨や関節、筋肉や腱に重度の反復ストレスや緊張をかける非常に激しい身体活動です」と仰っています。
私はバレエの専門家ではありませんが、もはやバレリーナはアスリートと同じくらい、質の良い食事が必要な職業なのだと考えられます。
・実はあの人も体重50kg以上
例えば、モデル兼レーシングドライバーの塚本奈々美さんは、「どう見ても体重42~43kgくらいにしか見えないほどスタイルが良い」けど体重50kg以上あったりします。
※公表値は165cm/50kgですが、本人のYoutubeチャンネルで「実は50kg以上ある」との談です。
海外の女優さんなどはもちろん、国内でも、筋肉を付けてスタイルを良くしている人の体重は、だいたい見た目からは想像できない数字だったりします。
だって重要なのは数字ではなく見た目ですよね?
◆一方、日本では…
・未だに根強い「痩せ信仰」
「体重50kg以上は女じゃない」という暴言があるように、正しい科学的知見を持たず、「体重」という「スタイルの良し悪しとは無関係の数字」で女性をこき下ろす風潮がまだまだ多いのが現状です。
(もちろん、開き直ってデブのままでいる人もどうかと思いますが)
アイドルが「ブタ」と罵られたり、小学生や幼稚園児にまで痩せ信仰が刷り込まれていたり…。
InstagramやTwitterに延々と掲載される低カロリー食と、それを後押しする「痩せ信仰」の決意表明の数々…。
そしてそれらを助長するファッション雑誌やダイエット業界、健康食品業界、そして勉強してない管理栄養士サマ…。
「体重」に縛られ、「体重減」だけを目標とした結果、栄養失調や発育障害、免疫力低下に伴う疾病や感染症、そして摂食障害に至り、中には精神を病んで病棟に隔離されるケースもあります。
彼女達が「カロリー神話」「痩せ信仰」ではなく、正しいボディメイクの知識(あるいは優秀なトレーナー)との出会いがあったのなら、違った人生を歩めたのではないでしょうか?
※非嘔吐過食など、摂食障害はとても重要なテーマなので、別記事でまた詳しく書こうと思います。
・健康美を追及したコンテスト
幸い、日本でも少しずつ「カロリー神話脱却・PFC重点・筋トレ重点」の風潮になりつつあり、従来のボディビルコンテストだけでなく、ベストボディジャパンやフィットネスエンジェルなどの健康美を審査基準とするコンテストも増えています。
特にフィットネスエンジェルに至っては、審査項目に「ヒップとウエストの比」というものがあり、「美尻コンテスト」とも言われています。
上等なヒップラインは「筋肉」によって作られるので、旧来の栄養失調ダイエットでは決して到達できません。
ちなみに第一回の優勝者であるアミン・カレダさん(日本人とバングラデシュ人のハーフ)は、トレーニングを始めてわずか1年ながらも、ヒップスラスト(バーベルを使った尻トレ種目の一つ)でなんと100kg上げるそうです(すげぇ!
もちろん、そんな彼女も「中学生の頃からとにかくほっそい身体に憧れてて食べないダイエットをした結果、こじらせて拒食と過食の繰り返しに」とのこと。
(ご本人のInstagram投稿文より引用)
つまり、美尻コンテストの優勝者も、昔は不健康な摂食障害児だったのです。
◆「カロリー」と「体重」という名の呪い
・「自ら望んでデブになった」人はいない
一部の例外を除き、自ら望んで肥満体型になった人はいません。
むしろ「自分ではある程度気を付けているつもりだけど、いつのまにかブクブク太ってしまった」人が大多数だと思います。
(私もその一人でした)
・「デブ」→「標準体型」に戻るのは意外と簡単
私はメタボ検診対象者レベルで腹が出ていましたが、一から栄養学を勉強しなおして、食事を抜本的に改善し、標準体型に戻るまで、実は2か月しかかかってません。
体脂肪は多ければ多いほど減りやすい(使われやすい)ので、糖質依存症を治し、日々の食事を調整するだけで、意外と簡単に贅肉を削ぎ落すことができます。
貯蓄がたくさんあるので、多少のカロリー赤字も平気だったりします。
・「標準体型」→「イケてる身体」は少し時間がかかる
いわゆる「筋肉が付いていて脂肪の少ない身体」は、筋肉を増やしていかないと到達できません。
体脂肪量も少なくなっているので、デブの頃よりも減りにくい(使われにくい)状態となっているので、「減量」だけでは頭打ちになってしまいます。
貯蓄は少なくなっており、カロリー赤字にすると筋肉の損失のほうが目立つようになります。
贅肉を削ぎ落すことよりも、筋肉を成長させる事の方が何倍も難しく、時間もかかります。
「とりあえず毎日腕立て伏せ1000回!」とか、闇雲にやるのではなく、栄養学やトレーニング理論をキチンと学ぶ必要もあります。
このため、「イケてる身体」に至るには、少し時間がかかります。トレーニングを日々の生活習慣に取り入れ、コツコツと続ける必要があるからです。
◆原理が分かると違う世界が見える
「何を以って脂肪が増えたり減ったりするのか」
「何を以って筋肉が増えたり減ったりするのか」
この原理をある程度把握し、自分の生活習慣の中に取り入れて、毎日継続できるようノウハウを構築し、「自分の意志で体型をコントロールできるようになる」事が、ダイエットのゴールです。
あとは、「どこまで至るかは自分のさじ加減」なのです。
(もちろん、それを完璧に行うのは難しく、多くの人が日々勉強と実践を繰り返すようなレベルですが)
このゴールに至った時、おそらくほとんどの人は、「身体作り(BodyBuilding)」という名の別世界が見えてくると思います。
一番最初の記事でも少し書きましたが、私はこれを「雲の上には別世界が広がっていた」と表現しています。
「私には関係ない」
「あの人たちは遺伝子が特殊なんだ」
「努力しても無理に決まっている」
今まで見て見ぬフリをして劣等感を誤魔化していた卑屈なデブが、コツコツと勉強と実践を重ねてきた結果、今まさにその世界の入り口に到達しやがったのです!
「私にもできるかもしれない」
「あの人もこの人も、昔はデブだったり虚弱体質だった」
「楽ではないが、不可能でもなさそうだ」
そして、卑屈な元デブ野郎はこう思ったのです。
「どこまで行けるか分からないけど、行けるところまで行ってみよう」と。
さて、アナタはどうする?( ^ω^ )