糖質制限再批判動画に対する反論
「糖質制限厨の闇 命を預かる立場であるはずの医者がメタ分析も理解してない問題」に対する反論動画を投稿しました。
前回同様、理路整然と反証となる別論文を提示したり、提示された論文の問題点を指摘しています。本ブログ記事では、動画の内容をダイジェストでご紹介します。
◆「糖質制限厨の闇 命を預かる立場であるはずの医者がメタ分析も理解してない問題」に対する反論
以下、動画の内容をダイジェストでご紹介します。
◆提示された論文
以下、6件の論文が提示されました。
・論文① 糖質制限で寿命縮まるかもな件
→※前回の動画にて反論済です。
反論Ⅱ-1(済):論文の問題点を指摘済み。
反論Ⅱ-2(済):反証となる別論文を提示済み。
・論文② 結局、バランスの良い、加工度の少ない食事がいいという話
→糖質制限を否定する内容ではない。(反論対象ではない)
※健康増進効果(炎症抑制など)や、癌リスクが増えない事を認めている。
・論文③ カロリー揃えたら糖質あろうとなかろうと体重減少に差がない=糖質制限の理屈がおかしい件
→反論Ⅰ:論文の問題点を指摘致します。
→反論Ⅱ:反証となる別論文を提示致します。
・論文④ 偽情報を信じた人は説得するだけ無駄
・論文⑤ 偽情報を信じる奴は知能が低い件
・論文⑥ 専門家もデマを信じてるかも
→疫学研究とは何ら関係ない誹謗中傷。(反論の価値無し)
◆反論Ⅰ:論文の問題点を指摘
「食生活の炭水化物摂取量と死亡率体重と心血管リスクを減らすための低炭水化物対等エネルギーバランス食」
・概要
低糖質食とバランスの取れた減量食を、同じ摂取カロリーで比較した減量実験。
・・・を19件集めて分析したメタ解析論文。
・論文の抽出基準
全3,450件の中から19件の論文を抽出し……
・肥満者を対象とした実験:14件
・2型糖尿病を持つ肥満者を対象とした実験:5件
…に分類した。
【除外対象】
①実験期間が12週間未満
②食事介入を行っていないもの
・・・等々
・分析結果
①糖尿病でない肥満体被験者において、低糖質食とバランスの取れた減量食(≒低脂肪食)で有意差なし。
②2型糖尿病を持つ肥満体被験者においても、低糖質食とバランスの取れた減量食(≒低脂肪食)で有意差なし。
従って、この論文では「糖質量に関係無く、摂取カロリーの大小で体重減少が決まる」
…と結論付けている。
しかしながら、このメタ解析には大きな問題点がある。
・問題点
低糖質食の分類基準が「糖質のカロリー比率45%未満」となっており、これでは「低糖質」と分類するには、あまりにも糖質量が多すぎる。
成人男性の減量食(約2,000kcal/day)と仮定しても…
900kcal/4kcal=225g/day → ご飯3杯食べても「低糖質」に分類できる。
どういう事なのかと言うと、
「バランスの取れた食事は糖質45%~65%なので、それ未満は低糖質に分類します(意訳)」
……との事。
※色々とツッコミどころが多すぎて、「何処からツッコめば良いか分からない」レベル。
ってか、そもそも「バランスの取れた食事」って何やねん…。
・問題点(詳しく)
本論文の基準では、1日あたりの糖質量は225g以下という事になり、ロカボにすら劣る高糖質食を「低糖質食」として分類できてしまう。
本論文における「低糖質」の分類基準は適切ではない。
・結論
(1)そもそも「低糖質」の分類基準が間違っている。
(2)分類基準が間違っているため、有意差が出ないのは当然。
本論文を以って、糖質制限の批判材料とするのは不適切である。
◆反論Ⅱ:反証となる別論文を提示
「低脂肪対他の食事療法介入が成人の長期体重変化に及ぼす影響」
・概要
低糖質食、または低脂肪食を用いて長期体重変化を追跡した減量実験。
・・・を53件集めて分析したメタ解析論文。
・論文の抽出基準
全3,517件の中から53件の論文を抽出した。
【除外対象】
①ランダム化比較試験でないもの
②実験期間が12か月未満であるもの
③体重減少を報告してないもの
④試験集団が重複しているもの
・・・等々
・"低糖質"の分類基準
本論文では、Atkins式や、糖質量30g~40g以下の食事を「低糖質食」として分類している。
※"低脂肪食"は、脂肪からのカロリーの割合が10%以下や30%以下、という基準。
・分析結果
①低糖質VS低脂肪にて有意差あり。低糖質食は、低脂肪食に比べ平均1.15kgの長期減量効果があった。
→低糖質食が有利。
②低脂肪食は、他の高脂肪食との比較で減量効果に有意差なし。
→低脂肪食の利点無し。
③低脂肪食は、普通食と比較した場合のみ有意差あり。
→低脂肪食:普通食よりは良い
これらの分析結果から、論文著者は以下の通りコメントしている。
(1)我々は、低脂肪食の有効性について誤った認識があった。
(2)健康と栄養のガイドラインにおいて、減量のために低脂肪食を推奨する事をやめるべきである。
・結論
(1)有意差が無いのは論文の精度の問題。
(2)反証論文では、低脂肪食よりも低糖質食が有利である事が示されている。
◆反論内容(まとめ)
・論文①
→前回の動画にて反論済。
・論文②
→批判論文ではない。(反論の必要無し)
・論文④~⑥
→疫学研究とは何ら関係無い。(反論の必要無し)
・論文③
→(1)論文の問題点(精度の低さ)を指摘した。
→(2)反証となる、精度の高い別論文を提示した。
以下、リファレンスです。
◆体重と心血管リスクを減らすための低炭水化物対等エネルギーバランス食
※提示された論文
◆低脂肪対他の食事療法介入が成人の長期体重変化に及ぼす影響
※反論として提示した論文
◆「糖質制限の闇!痩せない上に寿命が4年減ることが判明」に対する反論
※前回の反論動画