糖質制限でよくある5つの間違い
今回は、以下の記事の翻訳&要約記事をお送りします。
「The 5 Biggest Keto Mistakes」
厳密にはケトジェニックと糖質制限は異なるものですが、一般人からすればどちらも大差ないため、いつものようにケトジェニック≒糖質制限と読み替えて頂いて問題ありません。
※元記事執筆者のJason Wittrockさんは米国で最も有名な糖質制限ボディビルダー兼トレーナー兼YouTuberの一人であり、私も氏の活躍を注目しています。
1、適応段階がある事を知らない
あなたは今まで炭水化物を使い続けてきましたが、今あなたの身体は代謝を完全に切り替え始めています。炭水化物の代わりに脂肪を使い始めています。
この時期には「ケト・フルー(Keto-Flu)」と呼ばれる症状が現れることがあります。(Flu:インフルエンザの意)
あなたがしなければならないことは、コミットし続ける事です。完全に排除できない場合でも、ケトフルーの状態を最小限にする方法があります。
そして身体はケトーシスに移行し、開始した時点よりも明らかに気分が良くなります。
<Kom者コメント>
糖質制限食の開始直後(1日目~3日目くらい)に発生する「頭がぼーっとする」「身体がだるい」「砂糖が欲しくなる」等の状態を風邪やインフルエンザに見立てて「ケト・フルー」と言います。
(実際にインフルエンザに罹患するわけではありません)
これら「ケト・フルー」のおおよその原因と対策は以下の通りです。
・原因:脂質不足・電解質不足・開始したばかりで身体が完全にケトン体代謝に移行しきれてない
・対策:十分に脂肪を食べる・塩漬けのナッツやアボカドや緑色の野菜を食べる・それまでの炭水化物依存度の高い生活習慣を呪いつつ数日辛抱する
Kom者の場合、「砂糖渇望」の症状が現れました。
「お腹が苦しくなるくらい肉や魚や卵を食べているのに米や砂糖菓子が欲しくてたまらなくなる」という薬物中毒患者のような状態になったのを覚えています。
1日目の夜は冷蔵庫の前で歯ぎしりをし、2日目の夜は冷蔵庫を抱えながら涙目になり、3日目の朝に「霧が晴れ」それら全てが収まりました。
満タンになっている肝グリコーゲンが使い果たされケトーシスに移行するまでおよそ24時間~48時間かかりますので、厳密に糖質をカットできていれば、3日目にはケトーシスに移行できる計算になります。
中途半端に糖質を食べた場合、身体のエネルギー利用は中途半端な状態になり、中途半端に空腹感を覚え、脂肪の損失量も中途半端になり、中途半端な結果になります。
2、十分な脂肪を食べていない
ケトは、単に糖質を減らすことだけではない。それは「高脂肪食」であるということです。
確かに、たくさんの糖質を食べる事はありませんが「糖質を避け、十分な脂肪を摂る」という事に考え方を変えることが必要不可欠です。
あなたの摂取カロリーの少なくとも75%が脂肪から摂取する必要があります。
卵、ベーコン、ソーセージ、アボカド、オイル、ココナッツオイル、バターなどです。
もちろん、これはあなたが慣れている事ではありません。あなたは脂肪を避ける事になれています。だから、あなたは日々の食事でこの事を常に意識する必要があります。
脂肪はあなたの新しいエネルギー源です。あなたはもう糖質で動いているわけではありません。あなたには脂肪が必要です。あなたが十分な脂肪を得ていない場合、あなたのエネルギーは枯渇し、この食事を断念する事になります。
<Kom者コメント>
長年の慣習から脂肪の摂取を恐れている人が多く、糖質と共に脂質もカットしてしまい、単なるエネルギー不足になり、階段の上り下りすら億劫になってしまう人がいます。
だいたいそういう人は、TVや雑誌等で格好のネタとなり、「糖質制限は危険!」と題したエセ健康番組の題材となってしまうでしょう。
TVやマスゴミ達を喜ばせたいなら、脂質までカットして不健康になって下さい。
そうでないのならば、脂身のある肉・全卵・青魚・オリーブオイル・アボカド・ココナッツオイル・バター・生クリーム・MCTオイル・アーモンド等から健康的な脂肪を得て下さい。
KetogenicDietで減量を行う場合でも、脂肪は摂取して下さい。
その際、カロリー赤字は最大でも20%を超えてはなりません。
3、食べる蛋白質が多すぎる
身体が脂質代謝に適応したら、(様々な人やっているように)異なる量の蛋白質を摂ることができます。
しかし、初期段階では安全策を取ることをお勧めします。
多すぎる蛋白質は体内でグルコース(ブドウ糖)に変換され、ケトン体代謝が停止してしまいます。
高脂肪・低蛋白質食品を選ぶことは非常に重要です。
あなたはたくさんの鶏肉を食べる必要はありません。ツナ缶ばかりを食べる必要もありません。あなたが食料品店に行く際は、鶏の胸肉ではなく脂身の付いた牛肉を購入して下さい。
あなたが摂る蛋白質の量は、総カロリーの20%以内にする必要があります。
<Kom者コメント>
「蛋白質は多すぎてもダメ」というのは以外と盲点になりやすいです。
Kom者が実際に実験したところ、同じカロリー量でも、皮無し鶏胸肉のみを食べた場合と、全卵&ココナッツオイルで脂肪も十分に食べた場合では、腹持ちの良さが格段に違います。
(長鎖脂肪酸は吸収・代謝に最長10時間~12時間かかります)
お腹が空いてしまうと変なものを食べたくなるので、そもそもお腹が減らないようにケトーシスを維持するのは、体型管理の重要な戦略の1つです。
厳密に行う場合、蛋白質のカロリー比率は20%ですが、30%くらい摂る人も居ます。
江部康二先生のスーパー糖質制限食が、蛋白質カロリー比率32%なので、20%~32%の範疇であればほぼ問題ありません。
難しそうに思えますが、実はこの比率、いわゆる「脂身のある肉・青魚・全卵・チーズ」だけでほぼ達成できます。
例を挙げると……
品名 | 蛋白質 | 脂質 | 糖質 |
全卵 | 34% | 64% | 1% |
豚バラ | 15% | 85% | 0% |
鶏もも | 34% | 66% | 0% |
牛肩ロース | 31% | 68% | 1% |
ノルウェー鯖 | 22% | 78% | 0% |
カマンベールチーズ | 24% | 75% | 1% |
減量中のボディビルダーの真似をして「心を無にして皮無し鶏胸肉を茹でて食べる」必要は無く、「目玉焼き&オリーブオイル、ステーキ&バター、豚肉と野菜の炒め物」で良いという事です。
いわゆる「狩猟で食物を得ていた太古の人類」と同じような食事をすれば良いという事であり、江部先生が「糖質制限は人類本来の健康食」と仰る所以がここにあるのです。
もちろんこれらの食品に対し、アボカドやナッツ類、大豆製品を共に供すれば、より完璧です。
※ちなみに、チーズは紀元前5000年前から存在している由緒正しき古代食です。
4、十分な電解質を摂っていない
電解質はどのような食事でも重要ですが、この食事では最も重要です。
実際には、ほとんどの人が失敗に終わる第一の理由がこれであると私は思います。
あなたの食生活に十分なナトリウム・マグネシウム・カリウムが無ければ、頭痛・疲労・便秘・嗜眠、いわゆる「ケト・フルー」の症状が発生し、中止してしまうでしょう。
なぜこれが起こるのか?
1つは、インスリンはあなたの腎臓にナトリウムを貯蔵するように指示するホルモンです。
従って、あなたが低炭水化物食によってインスリンを抑制すると、あなたの腎臓は身体からナトリウムを洗い流すようになります。
あなたの食事に塩を加え、塩味のおつまみを食べ、そして私の好きな軽食の一つであるチキンスープを飲んで、ナトリウムを補給することが不可欠です。
カリウムは、あらゆる種類の筋肉収縮および主要な器官に使用される主要な電解質でもあります。
十分なカリウムを得るために、緑豊かな野菜やアボカドをたくさん食べましょう。
正直なところ、私は1日に1~2個のアボカドを食べることをお勧めします。これらの少し太った爆弾はあなたの親友かもしれません!
最後に、あなたの身体のほとんど全ての化学プロセスで使用されるマグネシウムがあります。
クルミ・アーモンド・ピスタチオ・ピーカン・かぼちゃの種などのナッツ類からマグネシウムを得ることができます。
これらは全てケトのメニューです。しかしながら、私はサプリメント等でいくらか追加することを勧めます。
<Kom者コメント>
「糖質制限時、減塩をしてはいけない」というのは大きなポイントになると思います。
事実、インスリンの分泌があるかないかで体内の代謝状態は大きく変わるため、糖質代謝を前提としている現行の健康増進指導は意味を為さないことがあります
また、ナトリウムと共に水分が排出されるため、水を十分に飲んで下さい。
蛋白質の代謝に水が必要であるだけでなく、水分不足はトレーニングのパフォーマンスを低下させ、筋肉の成長を遅らせ、脂肪の損失をも遅らせます。
料理に精製されていない岩塩をたっぷりと使い、水をたくさん飲んで下さい。
カリウムについては、緑色の野菜を頑張って食べて下さい。
生鮮野菜はべらぼうに高いので、冷凍ブロッコリー・冷凍ほうれん草・冷凍小松菜などがお勧めです。アボカドは安売りしている時に未熟なものをまとめ買いしておくと良いです。
面倒なら青汁という手段もありますが…。
マグネシウムについては、ナッツ類と共に「大豆製品」が豊富ですので、油揚げや厚揚げ、あるいは高野豆腐などを食事に加えるのが良いです。
とはいえ、頻繁にトレーニングをする人の場合、ZMAなどのサプリメントですでに十分量のマグネシウムを摂っているかも知れませんね。
5、その食品には糖質が入っている
炭水化物からのカロリーはわずか5%以下にする必要があります。例外はありません!
あなたは緑豊かな野菜、ナッツ類をたくさん食べる必要がありますが、加工食品に含まれる隠れた糖についても注意する必要があります。
食品会社は、食品中の炭水化物を隠す専門家になっています。
彼らはあなたが炭水化物中毒になることを望んでいます。それは彼らの利益を推進するものだから!
だから、あなたはあなた自身の最善のために、食品ラベルを読む専門家になる必要があります。
<Kom者コメント>
市販のソースやケチャップ、みりん、ポン酢、そして低糖質ナントカ系商品……。
裏面の数字をよく読んでみると、意外と糖質が入っています。
「炭水化物=糖質+食物繊維」なので、食物繊維が入っていなさそうな調味料・食品の場合、ほぼ炭水化物≒糖質と認識して下さい。
※調理の際は変な調味料に頼らず、岩塩・スパイス・ハーブ類を使用して下さい。
コンビニのホットスナックはもちろん、デパートや食料品店で販売しているほとんどの総菜類は、糖質がたっぷりと使われています。
例えばトンカツの場合、衣にたっぷりとパン粉(糖質)が使われており、さらに酸化した粗悪油で揚げられています。
煮物類はそもそも根菜(糖質)が多く、さらにみりんや砂糖等の糖質調味料がふんだんに使われています。
※外食・中食製品はだいたい糖質包囲網です。
「糖質制限中にレーズン入りバター食べてます!あれすっごく美味しいんですよ~」
と仰った方が居ましたが、数字を確認したところ、かなり糖質がある事がわかりました。私なら食べません。
※市販の商品で甘くて美味しいものはだいたいアウトです。
◆おわりに
ケトジェニックダイエットは、正しく行われた場合、命を救うことができ、精神的にも肉体的にも役立ちます。
私はこのことを直接見てきました。私は、この事をAsk the Expert Panelラウンドテーブルで議論しました。
だから、あなたはそれを正しく行う場合にのみ、その利益を得ることができます。これらの5つの間違いを修正すれば、あなたは正しい道に向かうことができるのです。
<Kom者コメント>
Jason Wittrock氏が「命を救う」と言っているのは、決して誇張ではありません。
糖質制限食は肥満や糖尿病などの生活習慣病を治療し、PCOSやGERD等の疾患を改善し、そして動脈硬化や認知症などの発症リスクを明確に低下させ、健康寿命を引き延ばすことができます。
元々は「てんかんの治療食」として考案された経緯を持つKetogenicDiet(ケトン食)は、長年の研究により抜群の健康増進効果を持つことが明らかとなりました。
Ketoは単なるダイエット食としての範疇を超えており、まさに「食のパラダイムシフト」が起きていると言っても過言ではありません。
身体と精神を蝕む糖質食品には別れを告げ、新たな世界に旅立ちましょう!