理想の身体はキッチンで作る。

相談事例:20 三石先生は糖質は脳の働きに必要だと言っている

KOMZAP オープンチャット内にて:
皆さんにお聞きしたいのですが、三石先生の本に、糖質は脳の働きに必要と書いてあります。どのように考えれば良いでしょうか?
糖新生でエネルギーが消費され、活性酸素が発生するようです。それを避ける為に十分なブドウ糖を摂取しておく必要があるようです。
本に書いてあります。



私の回答:
三石先生が存命の時代には、糖質制限やケトン体に関する知見が存在しませんでした。
このため、著書には「脳が必要としているのはブドウ糖だけ」と書かれているのです。
もし今日においても三石先生が存命であるならば、当然ケトン体についても徹底的に調べ上げるに違いありません。そして十中八九、糖質制限推進派の一人としてご活躍されたのではないかと思います。

分子栄養学は宗教ではなく科学なので、古い書籍が全て正しいとは限りません。
三石先生やポーリング博士の理論を金科玉条とするのではなく、常に最新の生化学や日本人の栄養事情と照らし合わせながらアップデートしていく事が大切だと思います。
事実、藤川先生も「三石先生はこう言っているけど、今やるんだったら○○の方がいいよね」と仰る時があります。

※糖質制限やケトン体についての研究は、ここ10年~20年で飛躍的に進んだため。


また、糖新生の際にATPが多く消費されるのは事実ですが、それで「活性酸素が増える」という表現をするのは些か乱暴な表現でありましょう。
なぜならば、糖新生に限らず、酸素を用いたATP合成(ミトコンドリア代謝)では、すべからく活性酸素が発生し、生体を老化させていくからです。

つまるところ、我々は呼吸をしているだけでも常に活性酸素が発生しているのです。
活性酸素の発生をゼロにしたければ、我々は死ぬしかありません。
しかしそうならないように、体内には以下の活性酸素対策があるのです。

1、ビタミンCやEなどの抗酸化ビタミン
2、カロテノイドやポリフェノール等の抗酸化物質
3、SOD・カタラーゼ・グルタチオンペルオキシダーゼ等の抗酸化酵素
4、タンパク質によるDNA修復応答(活性酸素によりDNAが損傷するので)

どちらかと言えば、糖質を摂る方が健康面で悪影響が大きいです。
高血糖により血管内皮が障害されますし、ビタミン・ミネラルも浪費し、質的栄養失調を招きやすくなるのは既にご存知であると思います。

従いまして、ご質問内容に対する答えとしては「三石先生の見解が誤りです」という事になります。


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解説:
本を鵜呑みにするのではなく、自分の頭で考えて欲しいですね…。

だから私はいっつも「○○式、××メソッドを覚える」のではなく「生化学を学びましょう」って言ってる。
ベースとなる事が分かっていないと、未来永劫振り回されちゃう。

ぶっちゃけると、三石先生の本は必ずしも読む必要は無いと思います。
三石理論を受け継いで、糖質制限(ケトン体の知見)や欧米のオーソモレキュラーも取り入れ、日本人向けにカスタマイズして今もアップデートし続けているのが藤川理論(メガビタミン療法)なので。
三石先生の本はその「原典」として紹介される事がありますが、さすがにウン十年前の本なので、情報が古い箇所があります。



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